マタハラ初の実態調査 「マタハラ白書」を発表

働く女性が出産や妊娠、育児をきっかけに、職場で嫌がらせをされたり、解雇や降格などの不当な扱いを受けたりする「マタニティ・ハラスメント」(マタハラ)。

2015年3月、過去にマタハラの被害に遭った当事者を対象としたアンケート調査を発表しました。
この調査は、当事者を対象とした初のアンケート調査でした。

有効回答数は186人。
雇用形態別では正社員が7割、非正規社員が3割。
マタハラを受けた年齢は20歳から45歳までで、29歳から39歳までの人に多い傾向がありました。

加害者の第1位は直属の男性上司ですが、マタハラする同僚男性より女性のほうが2倍多いことが分かりました。
なぜ加害者に「女性の同僚」が多いのか。
怪我や病気とは違って、「妊娠は自己責任」とみられがちで、日本の組織では「仕事に穴をあけるのがもっとも悪い」との見方があることが要因かと思います。

また、妊娠出産を経験した女性が、「私にはできたのに、なぜあなたはできないの?」と見てしまうこともあります。
親御さんが近くに住んでいるなどのリソースによっても、女性が置かれた状況は本来違っている、ということへの理解が足りていません。

そして、「人事部門」が約13%となっており、マタハラを防ぐ役割の人事部門自体が、法律順守の意識が低いケースも見られました。

マタハラ01

マタハラをした企業を社員規模別にみると、「10~100人」約32%、「100~500人」約19%、「1000人以上」約13%と大差ないことが分かりました。

記者会見で私は、「企業の皆さんはこの数字を重く受け取ってほしい」と伝えました。

マタハラをした企業を勤務時間別にみると、「残業が当たり前で8時間以上の勤務が多い」約38%、「深夜に及ぶ残業が多い働き方」約6%、合計約44%と長時間労働がマタハラの温床となっていることがうかがえました。

有休取得率も良いとはいえず、「毎年1日〜2日しか取得できなかった」が約22%、「1度も取得したことがない」が約20%で、合計約42%の人が、産休や育休以前に有休が取りづらい環境に置かれていました。

また、妊娠や育児で欠勤や遅刻・早退が続いても「有給の範囲内の欠勤だった」が75.0%で、有給の範囲内でもマタハラに遭っていることが分かりました。

この調査結果から、マタハラが日本社会ではびこる理由は2つある、と考えました。
1つは「性別役割分業意識」、もう1つが「長時間労働」です。
この調査結果は、多くのメディアで報道されました。

調査を発表したその日に、NHK NEWS WEBのスタジオで解説したりもしました。
そして、この調査をきっかけに、厚労省が本格調査を実施しました。

横浜市会議員:おさかべさや

【関連記事】

・ハフポスト
「マタハラ白書」で被害実態明らかに 女性上司からも暴言「堕ろすのは簡単。十数えれば終わる」https://www.huffingtonpost.jp/2015/03/30/story_n_6967312.html

・テレ朝news(ANN)
「妊娠してすみません…」マタハラの実態
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000046834.html

・弁護士ドットコムニュース
「流産した君には配慮する必要がない」と人事部に言われたーー「マタハラ」最新事情https://www.bengo4.com/c_18/n_2888

・PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
「マタハラ」の加害者は男女問わず
https://president.jp/articles/-/15058?page=4

・IWJ Independent Web Journal
上司から女性部下へ「病気は不可抗力、でも、妊娠は自己責任でしょ?」──「マタハラ白書」が産休タブー職場の実態を公表

・女性自身
「世界の勇気ある女性賞」に輝いた日本人の“マタハラとの闘い”

・株式会社デルタマーケティング
「マタハラ白書」長時間労働がマタハラの温床

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