「なぜ子ども作らない」職場で不快な経験 相談しづらく
私は、マタハラ(マタニティハラスメント)を社会問題化し、産休・育休の取得、その後の復帰で働き続けられるよう推進してきました。
しかし、それが「ほかの誰か」へのしわ寄せで成り立っているとしたら、それは私が望むあり方ではありません。
その「誰か」は、会社組織の中で「子どものいない人」を指すことが多いように思います。そして、「子どものいない人」のなかには、子どもを積極的に望まなかった人もいれば、流産・死産・不妊治療の経験者といった子どもが欲しかったのに得られなかった人も当然います。
結婚していても、していなくても、子どもがいても、いなくても、すべての人にとって働きやすい社会であるべきで、よりよい職場環境にしていくためには、あらゆる立場の声が必要だと思います。
そこで、私は「ダイバーシティ&インクルージョン研究会」を立ち上げ、2020年9月16日に「子どもがいないことを理由に職場で不快な経験をされた男性&女性へのアンケート調査」を発表しました。
調査は決して対立を招くものではなく、真にインクルーシブな組織づくりの一助となることを願って実施しました。

子どもがいないことで不快な経験をしても、半数以上が相談せず
調査は、子どもがいないことで不快な経験をしたり残業を強いられたりしたことがある15~60歳の働き手を対象に行ない、有効回答107件を得ました。
不快な経験(複数回答)は「子どもがいることが、いかに素晴らしいか聞かされた」が54人で最も多く、「なぜ子どもを作らないのかと子どもがいない原因を追究された」(37人)、「子どもがいることが、いかに大変か聞かされた」(35人)の順に続きました。
「1.不快であったこと」「2.具体的に不利益を被ったこと」「3.妊娠中もしくは子育て中の社員からされた不快であったこと」の3つの項目ともに、「なにもしなかった」「誰にも相談できなかった」のいずれかを選んだ人が半数以上あり、声が上がっていない実態が伺えました。
加害者を見ると、「不快な経験」の最多は女性同僚だが、次いで男性上司が多く、また顧客・取引先等もあり、社内にとどまらない。女性同士の問題ではなく、ビジネス界全体の話だと見えてきました。


カバーする社員にも目を向ける
「改善してもらいたいことがある」と回答したのは8割以上。
その内容は、「カバーしている社員が他にいることに気付いて欲しい」が最も多く、会社組織として産休・育休取得者が増えた分、カバーする社員にも目を向けなければならない現状が伺えました。
あったらよいのに、と思う制度や仕組みは、カバーした分の対価を上げて欲しいが最多。
記者会見で私は、
「適切な評価と対価に加え、子育て中の社員だけが守られる制度であれば、分裂したままになってしまう。
フレックス制度や在宅勤務制度を全社員が使える制度にするなど、ダイバーシティが子どものいない社員にもメリットがある制度にしてほしい」と伝えました。
横浜市会議員:おさかべさや
FIX_子どものいない人アンケート_注目データと企業への要望
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3bca4aef8be77a22660931e6ce475e27【関連記事】
・朝日新聞デジタル
「なぜ子ども作らない」職場で不快な経験 相談しづらくhttps://digital.asahi.com/articles/ASN9J5H4BN9JULFA01Q.html?_requesturl=articles%2FASN9J5H4BN9JULFA01Q.html&pn=4
・弁護士ドットコム
「育児中の社員のしわ寄せ受けた」 子どもがいない社員の不満、アンケートで浮き彫りhttps://www.bengo4.com/c_5/n_11741
・Yahoo!ニュース
子育て社員の業務フォローで深夜残業や休日出勤。残業手当もタクシー代もない、フォローする社員の実例https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/48ffd921e1296fd164d108e84a057cb521e7fc8f
・Yahoo!ニュース
不妊治療で子どもを望んでいるなか子育て社員の業務をフォロー、制度のありなしで苦しむ女性たちhttps://news.yahoo.co.jp/expert/articles/b4be9615961898ac5186e02893488c6db8c11726