全ての人が参加しやすい政治の推進のために
日本の少子化は国難ともいわれ、加速し続けています。
この課題解決のためには、実効性のあるルール改正が不可欠です。
そのためには子育てで直面する困難について、政治の場に当事者の声を持ち込む必要があります。
しかし、子育て中の議員の数は、極めて少数と言わざるをえません。
政治の世界の多様性が乏しく、働き方改革が一向に進まないことが、その理由かと思われます。
現職の子育て中の議員は、何を改善して欲しいと思っているのか。
子育てと政治を両立することで、どのような困難に直面したのか。
アンケート調査を行ない、感情論ではなく定量データ(数値)にして実態把握をし、あらゆる立場の人が正しく民主主義的な意思決定に参加できる制度作りのきっかけとしたい、と思いました。
当事者議員による初のアンケート調査
「子育て中の議員の活動を考える会」という、超党派の地方議員と専門家を入れたチームを立ち上げ、手分けして調査を配布しました。
調査の対象者は、一都三県の地方議会に所属する議員の方で、2023年4月の統一地方選挙、またはそれ以前の選挙で、小学校に上がる前の未就学の子どもがいる環境で選挙に当選された、現在59歳以下の現職議員の方(※2010年以降に子どもが生まれた方を対象)としました。
調査方法は、Googleフォームを活用したオンライン調査とし、約100日間で有効回答数、95 件(女性:50 件、男性:43 件、無回答:2 件)を収集しました。
調査内容は、大きく以下の3 種類の経験の有無、具体的内容について行いました。
3 種類の経験の有無
A) 当選前の政治活動と選挙活動について
B) 当選後、議員になってからの経験について
C) 政治活動と選挙活動、選挙に当選し議員になった後の、すべての期間について
調査結果のサマリー
全体を通しては、当選前は9割が、当選後も8割以上が活動に困難を感じていることが明らかになりました。
また、男性議員の回答数も半分あり、男性だからこそ、「育児は女性がするもの」という先輩議員からの圧力があることも伺えました。
それぞれの期間については、以下のことがデータから分かりました。
A) 当選前の政治活動について
子育てが時間的制約となり、可能な活動の幅を狭めている。
有権者や同じ党の関係者、または支援者に、活動に時間を割くように迫られることが大きなストレス減。
B) 当選後の議員活動について
宿泊を伴う視察など時間的拘束の強い公務に困難を感じている。
オンラインでの参加を認めるなど、合理的な範囲内では柔軟な働き方を認めてほしい。
C)すべての期間を通して
困難に直面した際に問題は解決に至っておらず、被害者が我慢する、あるいは泣き寝入りしているのが実態。
一方、明確な目標と強いモチベーションを保っており、それを理解してほしい。
注目すべきデータ
無理解・ハラスメント行為の行為者の属性は、
突出して多いのは有権者だが、ついで同じ党の関係者、そして支援者が続く、と分かりました。
味方・身内の無理解が大きな障害となっています。

当選前の政治活動と選挙活動については、
土日や早朝などに長時間の拘束を伴うような活動は、子育てとの両立が難しいことを周囲に理解してほしい、という声が多く寄せられました。

当選前の時期に相談をする相手については、
パートナー等、身近な人に相談するケースが多い一方で、モチベーションを落としたり、メンタル不調に陥ったり、立候補を見送ることを検討してしまうケースもある、と分かりました。

相談の結果については、
発生している困難の8割程度が解決されていないのが現状で、ほとんどの候補者は、問題を抱えたままの選挙運動を強いられている、と分かりました。

これらの結果を踏まえて、岸田元総理に要望したことは、大きく2つです。
ガイドラインのなかに「中立的な相談窓口の設置」「より公平な選挙への参加」などを盛り込み、ガイドラインを作成することで有権者や支援者、政党に対する意識改革を行なって欲しい、と伝えました。
このアンケート調査と要望をきっかけに、現在、内閣府による本格的な全国調査が行われています。
横浜市会議員 おさかべ さやか
a8ba1ec1ead2d869f05b1ea61cdc04ab f3504aeea4b5b477b26d547429730533