マタハラ防止を企業に義務化

マタハラ(マタニティ・ハラスメント)とは

マタハラ(マタニティ・ハラスメント)とは、妊娠や出産、育児などに関わる女性労働者への不当な取扱いや嫌がらせを指します。

妊娠や出産、育児などを理由とした解雇や雇い止め、自主退職の強要で不利益を被ったり(=不当な扱い)、精神的・肉体的な嫌がらせを受けたり(=ハラスメント)、を意味する言葉です。
つまりマタハラは、不法行為(不利益)とハラスメント(嫌がらせ)との2つの要素を含んでいます。

セクハラ、パワハラ、マタハラで「3大ハラスメント」と呼ばれていますが、加害者という視点から見ると、一般的にセクハラは異性であることが多く、パワハラは上司であることが多いと思われます。

マタハラ01

マタハラが「働きかたへのハラスメント」

ところが、マタハラは異性・同性を問わず、上司・同僚を問わず、四方八方が加害者になる可能性があります。

なぜ同じ妊娠・出産経験のある女性や、防止する立場の人事や経営層までもが加害者になってしまうのか。
それはマタハラが「働きかたへのハラスメント」だからです。

産休・育休で長期の休みを取る、復職しても保育園のお迎えで時短勤務を取得するという働きかたは「異なる働きかた」として排除の対象になってきました。
マタハラは、セクハラ・パワハラのようなモラルに関する問題だけでなく、「働きかたの問題」といえるのです。

「マタハラ問題」を「働き方改革」とセット

私は、「マタハラ問題」を「働き方改革」とセットで唱えました。
「マタハラ」は女性の人権問題だけでなく、企業の経営問題・経済問題だと呼びかけました。

「マタハラ」を広め、2017年マタハラ防止を企業に義務化

署名活動やアンケート調査の発表を繰り返し行い、たくさんのメディアにニュースにしてもらいました。
内閣府の有識者会議に招かれ「マタハラ問題」を解説し、安部元首相とも一緒に登壇しました。

こういった活動を通し、「マタハラ」という言葉は市民権を得て、2017年マタハラ防止が企業に義務化されました。
私は「マタハラ防止の牽引者」と言われるようになりました。

ただ、企業に義務化されても、「マタハラ」は完全にはなくなっていきません。
では、どのような対応を心がければ、マタハラにならないのでしょうか。

まずは正しい法律と制度の知識を社内に周知徹底しましょう

2022年41日に施行された「育児・介護休業法」の改正により、男性が子どもの誕生直後8週間以内に取得できる「出生時育児休業(産後パパ育休)」と呼ばれる、男性産休も開始しています。

制度運用における細かい内容まで管理職が把握することは難しいので、人事部やハラスメント相談窓口など詳しい部署に確認しましょう。
そして相談窓口がどこなのか、管理職や職場で働く人すべてに明示しておきましょう。

マタハラ・パタハラ・セクハラ・パワハラは、複数の要素が重なったり、同時に生じたりすることが多いことが知られています。

窓口がハラスメントごとに分かれてしまうと相談がしにくくなるため、厚生労働省の指針においては、一元的な相談窓口を設置することが望ましい取組みである、としています。

マタハラ発生後には、迅速かつ適切な対応をとることを企業は心がけましょう。

横浜市会議員:おさかべさや

 

【関連記事】

NHK
マタハラの根絶をめざして 働き方の改革を訴える
https://www2.nhk.or.jp/archives/movies/?id=D0001810327_00000

・日本経済新聞
マタハラNet代表に聞く、「現在進行形」の無理解
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO88263370Z10C15A6NZBP00/

・日経xwoman
犠牲なくして回らない会社の構造がマタハラを呼ぶ
https://woman.nikkei.com/atcl/author/kosakabesayaka/

・東京人権啓発企業連絡会
マタハラ防止をきっかけにダイバーシティからダイバーシティ&インクルージョンへ
https://www.jinken-net.com/close-up/20180101_1515.html

・教育文化協会
小酒部さやか「マタハラ問題」
https://www.rengo-ilec.or.jp/report/16-10/1.html

・アメリカ大使館
【対談: キャリントン公使 X 小酒部さやか・マタハラNet代表】誰もが働きやすい社会とは?
https://www.youtube.com/watch?v=EHCKkFbMUD8