非正規社員が育児休業を取得する際の要件を緩和

非正規、育休取得は4%

契約社員やパートなど非正規雇用で働く女性は、妊娠しても育児休業をとれずに退職している実態がありました。

育児介護休業法では、非正規雇用の労働者も育休を取得できると定められていますが、国の調査によると、育休を取得して職場に復帰した割合は正社員の43%に対し、パートや派遣社員では4%にとどまっていました。

2015年10月、私は非正規にも育休を取りやすくすべきだ、として法律の改正を求める要望書と、およそ7000人分の署名を厚生労働省の審議会に提出しました。

非正規の育休取得率向上のための要望は2点
  • 非正規の「育休取得のための3要件」緩和
  • 派遣社員の育休取得の促進

① の「3つの要件」とは

当時の育児介護休業法では、契約期間の決まっている非正規雇用で働く女性が育休をとるには、復帰などに関し3つの要件が必要でした。

POINT当時の3つの要件は以下になります。
【要件1】同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること
【要件2】子の1歳の誕生日以降も引き続き雇用されることが見込まれること
【要件3】子の2歳の誕生日の前々日までに、労働契約の期間が満了しており、かつ契約が更新されないことが明らかでないこと

特に【要件2】【要件3】は将来の不透明要素を要件としており、非正規の育休を認めない企業側に有利な内容になっていました。
会社側が、妊娠が分かった時点で雇用契約を継続しないことを決め、育休をとれずに退職に追い込まれる、というケースがありました。

私は、この要件を緩和するよう要望しました。
具体的には、【要件1】はそのままで、【要件2】の削除、【要件3】の緩和をお願いしました。

② 派遣派遣社員の育休取得の促進について

当時、派遣社員(女性)が妊娠中に派遣先から契約を更新されなかった場合、人材会社(派遣元で派遣社員が育休を取得出来るよう対応している人材会社はごく少数でした。

派遣先と人材会社(派遣元)の契約期間を同じにし、派遣先で契約を更新されなければ、自動的に派遣元との契約も切れることにし、そのことを派遣社員に当然のこととして納得させている人材会社が多数存在しました。

派遣先と人材会社(派遣元)との労働者派遣契約が切れても、派遣元と派遣社員との労働契約関係は続き、派遣元が産休育休取得できるよう派遣社員に対応する責任があるという認識がない状況でした。

そこで、2つめの要望として、以下をお願いしました。
人材会社(派遣元)に産休育休の責任があることを周知徹底する。
派遣社員に産休育休を取得させる上で、派遣元が取るべき必要な配慮を明示する。

今では非正規社員も産休はもちろん育休が取得できるように

上記2点の要望は通り、非正規の育休要件は緩和されました。
2017年度、要件は、1年以上同じ企業で働いており、子どもが16カ月になっても働く予定なら育休を取れるようになりました。

そして、20224月、再度の法改正によって、【要件1】の「引き続き雇用された期間が1年以上」という条件は撤廃され、「子どもが16ヶ月までの間に契約満了することが明らかでない」という1つの条件だけになりました。

また、派遣社員も育休が取得できるようになりました。
参考記事:https://www.staffservice.co.jp/job/column/detail_047.html

女性活躍推進、1億総活躍なら、非正規を含めたボトムアップが必要

私は、記者会見で「女性活躍推進、1億総活躍と政府が掲げ出しています。非正規のようなボトムの問題に目を向けずして、活躍はあり得ないのではないでしょうか」と訴えました。

要件緩和を実現し、すべての希望する女性が働き続けられる社会へと進められたことを嬉しく思っています。

横浜市会議員:おさかべさや

【関連記事】

・日テレニュース
“非正規”育休取得は4%…改善へ要望書
https://news.ntv.co.jp/category/society/312322

・日本経済新聞
非正規の育休取りやすく 厚労省、17年度から
https://www.nikkei.com/article/DGKKASFS07H5H_X01C15A2EE8000/