非認知能力(社会情動的コンピテンシー)の育成、令和8年度から全・小中学校に導入を実現!

非認知能力とは、目標に向かう力や、他者と協働する力など、テストの点数や偏差値などで可視化できない力のことです。
学力や知能などの数値で可視化できる「認知能力」に対して、「非認知能力」と呼ばれ、主体性や意欲、好奇心、決定力、忍耐力、想像力、コミュニケーション能力などを指します。

社会情動的コンピテンシーとは、非認知能力と基本的には同じものです。
横浜市では、他者との関係の形成・維持や、心身の健康・成長につながるような、心の性質に焦点化したことが明確になるよう、「社会情動的コンピテンシー」と呼んでいます。

横浜市では、「メタ認知」と「知的好奇心」、「知的謙虚さ」と「共感性」の4つの社会情動的コンピテンシーに、特に着目しています。
「メタ認知」と「知的好奇心」は「目標に向かうための力」、「知的謙虚さ」と「共感性」は「他者と協働するための力」といえます。

塾ではなく、なぜ学校に通い、集団生活するのか。
その意義は、社会情動的コンピテンシーを育むためにあり、「人間力」という意味では、私は学力以上に大事なのではないかと思っています。

非認知能力は将来の収入に強く関連しており、高いグループは生涯年収が数千万円規模で高くなるという研究があります。

そのくらい大事な非認知能力ですが、今の小学校は、運動会は午前中で終わり、学芸会・合唱コンクールも多くの学校で行われなくなりました。
コロナで、対面での関わりができなくなったことをきっかけに、徐々になくなっていったと聞いています。

人と人とが関わりの中で育まれる、非認知能力を養う機会が減ったことに、私は危機感を抱いています。
そこで、議員になってから、予算・決算委員会、一般質問の機会ごとに、社会情動的コンピテンシーの育成を進めるよう要望して来ました。

(2025年決算委員会 教育委員会への質問の様子)

以下のグラフをご覧ください。
「自分にはよいところがある」と感じている児童の割合が、横浜市のA小学校の4年生では、市全体と比べてもかなり低い値を示しています。

このA小学校で、子どもの主体性に重きを置き、子どもたち自身が考える機会を設けた学校行事を行なった結果、6年生になった時点では、この図が示すように、市平均を超える値に変化しました。
このように、見えない力である社会情動的コンピテンシーが、子ども主体の学校行事によって育まれていることが分かります。

子どもの主体の行事とは、例えば、運動会や遠足を教員主導ではなく、生徒自身に企画させる。
いくつかの企画の中からどれをやるか、生徒自身が決めるために、みんなの声を聞く。
よし!じゃあ投票で決めようと、その決め方も生徒が考えて行く。
企画を通すために、より魅力的なものだと伝わるようにプレゼンする。
たくさんの票を入れてもらい、自分たちの企画が通るように工夫する。共感してくれる仲間を増やす。
実際に企画を行ない、失敗する。じゃあ次はどうすればいいかと、また自分たちで考える。

こういった行為のすべてが、子どもの意欲やコミュニケーション力、協調性、決定力、そういったものを高めて行くのだと、その結果がこの棒グラフになります。

教員の働き方改革のなかで、少なくなってしまった学校行事をいかに活かすかは、いかに子どもの主体性にまかせるか、にかかっています。

以下は、横浜市が導入した、一人一台端末である学習支援システム「横浜St☆dy Navi」の画面です。
左端のバーにあるように、ここから様々なデータにアクセスできるようになっていますが、社会情動的コンピテンシーは、「横浜市学力・学習状況調査」のところから見ることができます。

以下は、小学校4年生と6年生の時の「共感性」を並べてあるのですが、ピンクの部分に着目ください。
点線が横浜市の平均ですが、4年生の時には平均的または平均以下だった「共感性」が高い子どもたちの部分が、6年生では大きく育まれていることが分かります。

こういった変化をSt☆dy Naviを通してデータで見られるようにしたのが、横浜市の取組みになります。
教員は、どのような行事や取組みが数値につながったのか、分析できるようになりました。

この取組みが、来年度(2026年度)から、横浜市のすべての小学校・中学校に導入され、社会情動的コンピテンシーの育成を充実させていきます。

社会情動的コンピテンシー、いわゆる非・認知能力の育成は、子どもたちが他者を理解し、社会で生き抜く力を身につけるため、いじめ防止や不登校対策にも効果的だと私は思っています。
逆に言えば、社会情動的コンピテンシーが育成されれば、いじめや不登校も減るのではないかと考えます。

学芸会や合唱コンクール、子どもが校庭で思い切り遊べる時間など、昔はあったのに、今はなくなってしまったことが、いじめや不登校の増加に大きく関わっていると思います。

教員の働き方改革や酷暑、防犯の面から、昔はあったのに、時代とともに縮小していったのは致し方ないのかもしれませんが、であれば、それに代わるものが必要だと思います。
それが、社会情動的コンピテンシーの育成だと思いますので、力強く進めて行ってもらいたいと思います。

・横浜市
非認知能力(社会情動的コンピテンシー)調査研究
https://www.city.yokohama.lg.jp/kosodate-kyoiku/kyoiku/sesaku/school/syakonpi.html

・ダイヤモンド オンライン
生涯年収を左右する「非認知能力」とは何か。幼少期の遊びを通じて得られるメリットを考えるhttps://diamond.jp/educate/articles/exercise_play/85/

・ベネッセ教育情報
非認知能力はなぜ重要?教育現場での取り組みや家庭での伸ばし方を解説https://benesse.jp/educational_terms/11.html

・一般社団法人 日本生涯学習総合研究所
非認知能力について
https://www.shogai-soken.or.jp/non-cognitive-skills/

・東洋経済
その主体性、非認知能力は誰のため?道具として子どもが消費される未来にNO 文科省も方針転換、教育トレンドの”落とし穴”
https://toyokeizai.net/articles/-/904322?display=b